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「俺は…、恭介が羨ましかった!
何でもできて、周りにはたくさんの人がそばにいて、自分で道を切り開いていく恭介が…!
俺は、いつもトップに立つ恭介の後を追って、いつも恭介やほかの奴らと比べられた。
天才の恭介と、平凡の俺の差をいろんな面で思い知らされ、周囲から実力を見下され…。
恭介は、俺の越えられない壁だった!
そしてお前たちも、羨ましかった…!
確実な才能を持ち、恵まれた環境があって、そばにいてくれる仲間たちがいて、輝きを放つお前たちが…!」
そう言うと、柳井さんは嗚咽を漏らした。
「だからって、あなたの手でそれを消し去ることは許されません!」
そう言うと、恭介さんが私の肩を叩いた。
そして、彼はしっかりとした目で見つめ、頷いた。
「俺だってな、啓吾に憧れていた。
確かに、俺はいろんなジャンルで良いところまでいったり、啓吾よりも良い賞を貰ったことだってあったよな?
でも、俺はお前にしか作り出せない世界観が羨ましかった。
どんなに俺が表現しようとしても、どうしても出来なかったからな。
それが、お前の個性であり、武器なんだって思った。
啓吾に、そんな風に思わせていたなんて知らなかった。
ごめんな、気づかなくて…。」
「そんな…!」
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