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さりげなく、けれども必ず触れてくる指先。
親子ほど年の離れた若者にそうされたところで、東優子は今更動じない。
一応夫の居る人妻に彼が何を期待しているのか、どう対応していいのか、戸惑いはする。
戸惑いつつ、この工場に勤めて数カ月が過ぎ、もうほとんどそれにも馴れてしまった。
人はどんな事にも馴れるものだ、どんな最悪な状況に陥っていたとしても。
少しづつ温められていく水に漬けられているカエルが、死に至るまで気付かないように。
冷たい水が熱湯になり、ぐつぐつ茹でられてもカエルはそれに気づかない。
愚かな生き物だと笑えるだろうか・・・・・・南極の氷を融かしても気にしない、私達人間に?
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