2/38
1462人が本棚に入れています
本棚に追加
/900ページ
     *  さりげなく、けれども必ず触れてくる指先。 親子ほど年の離れた若者にそうされたところで、(あずま)優子(ゆうこ)は今更動じない。 一応夫の居る人妻に彼が何を期待しているのか、どう対応していいのか、戸惑いはする。 戸惑いつつ、この工場に勤めて数カ月が過ぎ、もうほとんどそれにも馴れてしまった。  人はどんな事にも馴れるものだ、どんな最悪な状況に陥っていたとしても。 少しづつ温められていく水に漬けられているカエルが、死に至るまで気付かないように。 冷たい水が熱湯になり、ぐつぐつ茹でられてもカエルはそれに気づかない。 愚かな生き物だと笑えるだろうか・・・・・・南極の氷を融かしても気にしない、私達人間に?
/900ページ

最初のコメントを投稿しよう!