花舞えば 葉は繁る

出会いは花吹雪紙吹雪

　すると、「あーもうっ！　そうよ！　テストの結果！！　あんなもん、見舞いどころか厭味でしかないと思わない？　可愛い教え子が入院してるっていうのにさー！」と、テストの点数を思い出して恥ずかしくなったのか、布団の中に隠れてしまった。

　なるほど。

　あの憂い顔は、自分の成績を嘆いていたせいなのか。

　そう思うと、人間の視覚や思考なんていうものは曖昧で不確かであり、時と場合によっては、自分に都合のいいフィルターがかかるもんなんだと改めて感じた。

　幻想的な花吹雪は、残念なテストの残骸。

　儚げな天使か王女は、お茶目で明るい、ちょっと体の弱い女子高生。

　真相を知れば、なんてことはない。

　ごくごく普通のことで、ごくごく一般的なものだ。

　それでも、そんな『普通』が生んだ出会いというものを大切にしたい。

　僕はこの時、何故かそう思った。