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「皐月さん、結構オレの事好きだよね」 はにかんだ笑顔で千鶴が俺の頬にキスをする。 頬に伝わる仄かな温もりが心地良くて千鶴をそっと抱き寄せた。 細い身体にいっぱい傷を付けて生きるこの頼りない存在を心から愛しいと思う。 なんで、とか。どうして、とか。 そんな事はよくわからないけれど、ただ純粋に千鶴が好きなんだ。 出来る事なら仕事を辞めさせて、この家で猫達と一緒に穏やかに暮らしてほしい。 でもそれは千鶴の望む生活じゃないから、千鶴がそうしたいと思えるようになるまで待つつもりだ。 「俺はさ、今この家にある物だけで充分なんだ。あんまり沢山はいらない。抱えきれないから」 俺が抱えられるものには限りがある。 それ以上欲張れば元々抱えていたものも落としてしまう。 「だけど、そこに千鶴が入ったって潰れたりしないよ。だからお前もここにいてほしい」
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