第十話 未来へ

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あれから、俺は普通の会社に就職した。 願っていた、正社員として。 営業職のサラリーマンとして働く日々は、忙しいが充実していた。 忙しい方が、全てを忘れられるから。 急に変わるのは無理だが、少しずつ自分を変えて行こうと思う。 不動産の会社だが、初めて飛び込む業界なので、毎日が勉強である。 資格の勉強もしたり、てんやわんやであるが、あまりにも忙しすぎて過去を振り返る時間などなかった。 だが、やはり少しは美咲のことを気にしている。 美咲は、元気だろうか。 別れた彼女の幸せを願うなんて、こんなんだから新しい彼女ができないんだよと言われそうだが、不器用な俺にはこういう生き方しかできないのであった。 人間なので、過去を完全に忘れることは無理だと思うが、美咲が、過去をある程度決別できたら。 いつか、また、会いたい。
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