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桜の血は何色?
幼い日の思い出とは曖昧なものだ。
時にせつなく、時に甘酸っぱく、そして、時に自分に都合が良かったり悪かったり・・・。
秀雄の幼き記憶もそうだ。
ただし、秀雄の記憶は悲しい記憶でしかない。それは、自らの過ちを一生涯隠すことになったからだ。
今住んでいる町から父親の転勤に伴って、秀雄は知らない街へと引越しをすることが決まった。
小学校に入ったばかりで、すぐに引越しをするとは酷な決定だ。
とくに、近所に住む雛子との別れは、何事にも耐え難い現実となった。
雛子は一つ年上の女の子だ。秀雄とは小さい頃からこの街で一緒に遊び、一緒に寝て、そして、二人は将来は結婚しようねと誓った間柄だった。
家族ぐるみの付き合いもあって、秀雄は一つ上の雛子が『友人』という存在を超えた、『姉』という存在になり、そして今では『離れられない』存在となっていたのだが・・・。
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