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「は・・・・」
びちゃりと液体が悠の体に、顔に降り注ぐ。
においが鼻につく、そして視界を赤黒く染める液体。悠は理解したくなかった。
しかし、反射的に首から目を離し、その液体の出ているところを見てしまった。
勢いよく断面部分から噴き出る赤黒い血、それは由紀の体から出ていた。
制御がなくなり、悠の首を絞めていたときに前屈みになっていたからかゆっくりと、いや、実際には早かったのかもしれない。
しかし、悠の目にはスローモーションに見える速度で、由紀の体は傾き、そして悠の体に倒れこんだ。
そして由紀の体がなくなったからか赤色のほぼ全体が見えた。
真っ赤な服を着た短い髪の青年、そして右手には厚手の幅の広い刃物。
口元はニタリと笑って歪んでいる。
刃物からは血が流れ、下に小さな血だまりを作っていた。
二人は視線を合わせた。
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