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旅の話し
「俺か、俺はダルフだけど?それがどうした?」
俺が襲われていた時に、いきなり現われ一人倒し不意打ちに襲ってきたラームを軽々とかわし、手から炎をだしラームを倒した男の発言が、
「俺か?俺はダルフだけど?それがどうした?」
「・・・なんてムカつくやつだっておもったけど、カッコいいじゃないかよ」って思ったのに。
あいつめいきなりきたマルナス自治軍のやつらにつれてかれて、
なにやってのだよ。あれから一日、日も暮れそうな夕方。村の宿屋の1階はこれから夜の酒場に向けての準備が慌ただしかった。
「軍のやつらめ、いくら横暴なヤツでも軍人のラームを倒されたからって、ダルフを連れていってなにしているのだ?」と昨日まで嫌ってたジットが、カウンター席に座りながら言う。
「まぁあまり気になさんな、あれだけ民衆がいたのだ、いくら軍の人たちでも簡単にダルフの命をとるような真似はできまい。むしろ逆に何か事情聴取をしてラームの切ろうとしているのだろう・・・軍の人たちもあのラームの横暴は目にも余るものだろう、ようやく目の上のたんこぶを取れるところだろう。」
と店のしたく準備のためにグラスを布巾で拭きながら宿屋の亭主が言う。
「あらら、ジット。昨日まであんなにもダルフさんのことを嫌っていたのに、どうしたの?まさかいままで馬鹿にされムカつきあげくの果てには、殺されかけたけど、ダルフさんがこの村に来てラームを倒してくれた、しかもすごい技を見せてくれた、そんなダルフさんのことがきにいっちゃったの?」
「いったぁ・・・なにするのだよ。」
と昨日ラームに撃たれそうになったのを俺が助けた、この子は、セラ。
この宿屋の亭主の娘で、もちろん看板娘だ。その時にかばって撃たれた左肩をわらいながら、こいつは叩いた。
「そんなこと言ってないで、ジットも店を手伝ってよ。そんなところでドリンクなんか飲んでいないで。」
「うるせい、俺は客なのだぞ、座っていてなにがわるのだよ。」
「そうか、ならジットもうお前の修行には付き合わなくてもいいんだな、それなら俺もありがたい」
「いや、オヤジ。ちょっと待ってよ。なんでそうなる、俺まだオヤジからまだハンターとしての技術を身につけてないぜ。
それに多分オヤジの修行の先にはダルフの謎の力や技の事や正体が隠されているのだろ。」
「じゃあ、働かなくては。それが修行に付き合う際に交わした約束だろ。」
そう言ってオヤジは、修行を始める前に交わした契約書を俺に出してきた。
「ハンターとして強くなる前に、ハンターになるのならまずはこう言った事をちゃんとしなくては」
「お、おう、やるに決まっているだろう、ただこの1杯を飲んでからやるのだよ。」
「はいはい、じゃあ早く飲んでやる。」
とセラは、持っていたおぼんで俺の頭を叩いてきた。
「くそ」そう言って俺は、店の手伝いに加わった。時が刻むに連れて、店に来る来客者も増えてきて、店が慌ただしくなってきた。
「ガチャ」
すると、店の扉が開く音が聞こえた。そこには昨日マルナス軍に連行された、ダルフの姿があった。
昨日、
「俺か、俺の名は「ダルフ」だ。旅人だ。」
と言ったその男、「ダルフ」とがったような金髪に、白く長いコートに黒いジーンズを履いていた。まだ9才の自分より背が高く170くらいはある男だ。
「ダルフ!!無事だったか」
と俺が叫んだ。
ダルフが返事しようとした、その途端にセラが持っていたおぼんで頭を叩きながら「ダルフ、ではなくダルフさんでしょ。それにジットよりも年上なのだから」「ハハハ」と店に来ていた来客してきた人たちが大笑いする。
「よ、夫婦漫才。今日も仲いいね」
と茶化す客やオヤジに「仲のいい二人だね。将来が楽しみだね」ともいう客もいた。そういうオヤジは「ふん、まだまだガキさ」と客の茶化しにも冷静に対応していた。
「お前たちは無事か、なら何よりだが。」ダルフがあらためて、俺たちに返事をしてきた。店が落ち着き、少し早めに酒場の店締めをして一つのテーブルに集まり席に付き食事をした。料理は店の残りとはいえ、豪華にも近い肉料理やフライ、サラダなどが美味しそうに並べられていた。食事をしているとジットが話しかけた。
「軍に連れて行かれたけど、その後は一日一体、何をしていたのですか。」
ここで食事をしているみんなが疑問に思いいつ質問をしようかと悩んでいた時であった。「うんそうだね。あれから俺は、マルナス軍に連れて行かれて自治軍の駐屯施設に行ったのだよ。」とダルフは応えた。
それからを語った。
「駐屯施設に行ったら、あの現場に来ていたマルナス自治軍の隊の先頭に立っていた男と、取調室で話し合った。名はランダ。」
「ランダは、このハッシュリー地方の地方軍所属で、オニッシュ村などがあるハリ自治区の監査を行っている人物らしい。階級は准尉。」
「准尉って偉いの」とセラが質問を投げかけた。
「ちなみに、将校より下の階級、主に軍曹などは出身地域の自治区からやっていくのだよ。ちなみにラームは軍曹なのだよ」
と亭主は応えた。
「へぇ、パパよく知っているね」
「何年この通信情報商業共有ギルド「泣かない宿」のオニッシュ村の店の亭主やっているのだ」
と亭主は自慢げに語った。
そう言ってジットがふと思った
「あのラームで軍曹か、マルナスは世界の各国と比較してもそれほど大きくはないから、軍事力も大きくはないから隣国の内戦や覇権争いや戦争に巻き込まれるとは限らないしましてや侵略戦争から守っていけるのかも心配って亭主が言っていたのに、軍の階級制はきびしいな」
と考えていたが、それよりも話を戻さなくては。
「で、ダルフさん、そのランダって軍の人に何を聞かれたのですか」
とジットがお題に戻す。
「まず、ラームとの戦闘の経緯だね、ありのままのことを答えたよ」
「そして、旅の経緯だね。マルナスの東沿岸部のチルイ地方のジルワットから世界をこのユルシア大陸を巡回することが目的だと告げたがね」
「そう言えば、お兄ちゃん旅人なのだよね」
「あぁ、そうだが、かれこれ一ヶ月はもう旅しているなぁ…一ヶ月も」
「じゃあさぁ、外の世界はたくさんのモンスターや恐竜とかいるの?」
「あぁいるとも、ゴブリンやオーガやレックスにラプトルそれに、山の上の方だけど、ドラゴンらしき姿も観たな」
「ド、ドラゴン」
同時に俺とセラが驚いた。セラは、驚きひきつった顔をしていた。無理もないドラゴンなどの幻獣を見てきたとなれば、驚きを隠そうと思うのが無理のあることだ。
シカやクマやゴリラやサルやイノシンやオオカミなどの動物や、ゴブリンやオーガやキノコのお化けやアンデットなどのモンスターがいる。そしてまれに恐竜もいるのだと…いやそれが当たり前なのだと思うのが、村や町で暮らす人々の常識的な事になるのだから…動物やモンスター以外のドラゴンなど幻獣は旅に出てみないとわからない常識だ。しかしこの少年だけは、違った反応を見せていた。目を輝かせて、笑顔で喜んでいたのだ。
「お兄ちゃんそれ本当なの。本当にドラゴンはいたの。」
「あぁいた…対峙した訳ではないが、翼の生えた竜が空を飛び立っていた。あれは間違いなくドラゴンだ。」
「スゲー。本当にドラゴンはいたんだ。オヤジ、俺は将来絶対ドラゴンを倒してみせる。そしてオヤジやセラにも見せてやるぜ」
「ハハハ、それは楽しみなものだ。何年先になるかわからないが。」
「なんだと。」と二人は話した。するとそこにセラがこう言った。
「じゃあ私はジットより先に、ドラゴンを倒す。」
「え?」
二人は鳩が豆鉄砲でも食らったかのようにきょとんとした顔をした。そして次の瞬間。「えー!」二人は大声を出した。セラの発言を理解したのである。
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