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「ガキだなお前」
「私まだ子どもだもん」
そう言う彼女は驚くほど悲しい瞳をしていて彼女は……佐々木麗という少女はどれだけの苦悩を抱えているのだろうか? 少しでも力になりたい……。
そんなことを考えていたためか、顔が少し強張っていたらしい。
「貴志くん顔怖いよ」
―ん、ああ……。
ひどく曖昧な返答に頬を膨らませて目に見える形で怒りを表す。
なにこの可愛い生き物。
今日、佐々木麗が全世界の生き物の中で一番可愛いことが判明した。
『可愛い』
「なんか言った?」
「えっ!?なに?」
「なんか言った気がして」
「気のせいだろ」
「そう……でも耳赤いよ」
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