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近所の霊園には公園があって、祖母が墓参りに行くときは必ずついていった。
芝生の広場は広々としていて、家族連れで墓参りに来ている人がたくさんいた。
私も弟も、転がるようにして遊んだものだ。
立派な桜の木が広場を取り囲み、春には桜の雨を降らせ、夏には芝生にまだら模様の木陰を作り、秋には真っ赤に燃え上がる。
冬の桜の木は霊園の雰囲気も相まって寂しげで、心なしか人も少ない気がした。
でも、祖母はすっかり葉を落として骨のようになってしまった樹を、いつも愛おしそうに眺めていた。
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