プロローグ

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 私は呆然として車が去って行くのを見送った。  ホントは、この後すぐ、浩平のマンションで会う予定になってたんだけど……あんな親密そうな二人を見た後で、浩平が時間通り来なかったら、私はおかしくなってしまう。  気を落ち着けたくて、街中をふらふら徘徊した。  そしたらちょいと怪しげなサラリーマン風の男に声をかけられる。  ふん。  私だってそこそこモテるんだからね!!  あんまり腹が立つからうっかりそいつについて行きそうになっちゃったんだけど……いやらしそうにニカッと笑ったときの歯が黄色かったからげんなりして置いてきた。  黄色い歯はムリだ。  ……絶対ムリだ。  いかにも口が臭そうで。  私は、はあ、とため息をついた。  浩平は白くて綺麗な歯だ。  ……完璧すぎる。  顔もカラダも私好みで……っていうか、ホント、顔は、きらきらした瞳にすっと鼻筋が通っている整った顔で、……多分、100人いたら98人ぐらいがイケメンだと認定すると思う。  何よりも表情が豊かなのと、笑ったときのニコッとした顔がたまらなくキュートで、あの笑顔を見るといつでもきゅんきゅんできる。  背はそれほど高いってわけじゃないんだけど……でも175近くあるから十分だと思う。  その代わり、足が長いんだよね。正直に告白すると、少し離れてみるそのスタイルに見とれてしまったことが何回かある。  だけど、浩平の外見のすごいところはそこじゃない。
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