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桜という花の旬は短い。
日本人はその儚い散り際に美を見たと言うが、それにしても満開の翌週が葉桜になっているのは早すぎる。
だから、花見などと言う行事を行えば、当然のように混み合う。
僕は、「必ず桜の木の下。そして15人が座れるスペースを確保せよ」とのお達しを受けて会社の花見のため場所取りに来ていた。
早朝とは言え、給金が発生している以上、場所取りとは言えこれは仕事なのだ。
まだ肌寒い早朝の公園にて、ジョギングする人や犬の散歩をする人とすれ違いながら下見していた場所に行く。
こうして見ても、なかなか枝振りの良い桜の木だ。
まだ蕾も見えるがほぼ満開、今日は絶好の花見日和に成るだろう。
そんな桜の木の下、僕はブルーシートを2枚広げ真ん中に寝転ぶ。
先客もちらほら見えるが、十分なスペースを確保できた満足感から僕は少し安堵した。
そして、スマートフォンのアプリをして時間を潰していた。
しばらくして、ゲーム内のスタミナを使い果たして画面から目を離すと、違和感を感じた。
何だろう?
特に変わったことなど…
いや、場所取りの人が増えたのだ。
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