6117人が本棚に入れています
本棚に追加
/220ページ
「電気、点けなかったの?」
「一瞬だけ、点けました。そしたら、眠っている姿が目に入ったので……」
消しました……、と消え入るような声で答えた。
「前は、電気点いてたのに入ってきたよね?」と尋ねると、「また、倒れていらっしゃるかと思い……」と、これまた消え入る声で囁かれた。
「……、」
それはつまり。
望都が思い描いた予想では全くなかった。
自分に会いたくて、抱かれたくてやってきた、と思っていた自分にがっかりする。
「では、あたしはこれで……」
「えっ?」
立ち上がろうとした梶矢に思わず声が漏れた。
行っちゃうの? と言いそうになった。
言いそうになった時には、その手首を掴んでいた。
そんな望都に、梶矢が肩を揺らした。
捕まえてしまえば、力では敵わない。
「えっ、ちょっと待っ……」
「その気がないんなら、寝ている男に近づいちゃダメだよ」
梶矢を引っ張り、ソファーの上に閉じ込めた。
最初のコメントを投稿しよう!