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週に1回、この1時間があるから、仕事も私生活も、嫌な事なんて乗り越えられる。だからそのままでいいと、二人で決めたのだった。
お互いを隅々まで愛し合う。
紅潮する美園の顔が色っぽく、又しても紀生の心を揺るがす。
「ねぇ、駄目?これでも」
「だ、駄目…かな…」
美園の理性も溶け始める。
「どうしよう、でも…」
彼女の頭の中で葛藤が始まる。
『してしまうの?いやいや、これは駄目だ。一応、人のもの同士。何言ってんの、ここまでしてて。あ、でも…』
頭の中でぐるぐる回る。紀生の躰が、美園の中の「女」を煽る。
結果、
「や、やっぱり駄目」
美園の理性が勝って、紀生の本能が折れる。
「そうだね」
こんな関係をもう、三か月過ごしている。
『一体になりたい』
そんな気持ちを極限まで抑えながら、情事を重ねていく。
若ければ、未婚ならきっと、約束なんてとうに破っていた。そんな微妙なのも、大人の事情でしかない。あと少しと言う、駆け引きが楽しいのかもしれない。
『約束を破る日』も、そう遠くはないと、お互いが密かに思っていた。
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