第1章 越えない一線

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二人の情事は、指と口でお互いを満足させるのだ。そんな行為を繰り返しているうちに、いつしか躰の隅々まで、相手の性感帯を知り尽くすようになっていた。 「気持ちいい?」 「き…、気持ちい…い…」 女の途切れ途切れの声が、男の気持ちをそそる。 躰は、お互いを求めても決まりは破らない。最後まではしないが、オーガズムを存分に楽しみむ。 「い…っ、いい」 美園の喘ぎは甘く、紀生の理性を溶かす。 「我慢できなくなりそうだよ」 「え、駄目よ。約束でしょう?あっ…」 美園の答えは解っていた。しかし、溶け始めた理性を抑えられない。 『このまま流れでしてしまえば、いやいや、それでは約束が違うじゃないか。でも、美園もまんざらじゃないはず。いや、でも…』 結局、 『小心者だったんだなぁ、俺』と、紀生は自分の理性に負ける。 そんなモヤモヤした気持ちをぶつけるかのように、本能を込める。 「もっと気持ち良くしてあげる」 紀生の指が激しく美園の中で泳ぐ。 美園も紀生の局部を口に含む。 「き、気持ちイイ。溶けてしまいそうだ…」 彼を可愛がるのも、美園の楽しみでもあった。 『この人に出会えて本当に良かった』 二人はそう思っていた。 何で、今のパートナーと結婚したのか不思議なくらいだったが、離婚はしない。     
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