プロローグ

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――桜咲く。 この一言には、桜の開花を告げるだけではなく、多くの意味が含まれていると思わせる。 寒い冬を終え、うららかな春の訪れへの喜び。 花を開いた桜が美しく、 また、おそらく桜の開花を喜べる心理状態であろうこと。 そう、『桜咲く』という言葉からは、幸せ、祝福、そんなものを感じさせる。 今の私――真城葵の状態が、まさにそうだ。 晴れて私は、この春から志望していた京都府立大学の学生となった。
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