さようなら

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そして 迎えたのは転機の二年生の春休み… 先生が良いと言うので、会いたくて毎日ピアノを弾きに行った そこで扉を開こうとした時、中から話し声が微かに聞こえた… 私はそっと扉を開くと… 卒業したばかりの学年で1番美しいと評判のカザイ先輩が先生に抱きつき口付けしていていたのが見えた 「久嗣…もう…?」 「終わりだよ?カザイ…」 「はい、センセイ…」 二人はゆっくりと身体を離した (……) 私は慌てて扉を静かに閉めて 扉の外に張り付くように立ち尽くした …動けなかったのだ… 二人が出てくるのを待っていると やがて、扉が開き…カザイ先輩が泣きながら走って出て行った 扉の影にいた私には気付きもしないで… 私はもう一度ゆっくりと扉を開き中に入る 先生は長い指をを顎に当てて、外の桜をぼんやりと眺めていた 「こんにちは…」 「あぁ…また春が終わるね…」 先生は誰に言うでもなくポツリと呟く その寂しそうな横顔に触れたくて私は後ろから先生を抱き締めた 「…私じゃダメですか?」 「…」 一瞬の沈黙、そして動いた気配…気づいたら先生の唇が私の唇に触れていた 「先生、好き…」 「久嗣って呼んで…」 「久嗣…」 二人はそのまま窓辺で口付けを暗くなるまで交わした…
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