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会場に一発の銃声が響き渡る。
銃を構えていた男に周りから集まってきた男が飛び掛かる。
「理玖っ!」
壇上で弟が蹲っているのを見ながら、雷門桂斗は会場の奥のほうに人をかき分けて進む。その姿はまるで野生の狼のよう・・・・飛び跳ねるように躍動する姿は綺麗だった。
「兄ちゃん」
左足を抑えながらようやく立ち上がる。
傍に恭介が抱え上げると背中の色鮮やかな鳳凰がゆっくりと上ってきた。
「理玖っ!」
それだけ叫ぶと、雷門桂斗はまっすぐに中央のドアに向かって突き進む。
理玖は正面に向き直ると会場を見渡して怒鳴りつける。
「テメェ!この俺に銃を向けるたぁどういうこった!落とし前つけたるわ!」
撃った男は周りにいた雷門の舎弟たちに取り押さえられた。
北海道でロシアと銃の取引をしようとした桃園組の若頭・・・・あの時のことを恨んで俺たちに報復をしようとしたのか。
でも組長は何処に?
袴に血が滲んできた。弾はかすっただけだが痛みがじわじわと込み上げてくる。
桂斗は右手奥の男の手を捻りあげていた。その手には拳銃が握られている。
「お前が黒幕か?國府田」
國府田って関西蓼科会のナンバー2か。どうしてこんなところに紛れ込んでいるのか。
ここは関東龍仁会の祝宴の場なのに、やすやすと入れるわけがない。
國府田の拳銃をたたきお落とすと相手は空手の構えを見せる。
「お前、関東龍仁会が周りにいるのに生きて帰れると思ってるのか?」
桂斗はにやりと笑うと、國府田も笑みを浮かべる。
「あれさえ成功してれば蓼科は日本を制覇していたんや。天下とれたのにお前ら邪魔しおって」
「その時お前の運が尽きたんだ。無駄あがきしやがって」
「蓼科から破門されるわ、親父さんは雷門虎太郎と杯を交わす羽目になって・・・・お前ら生かしておけんのや」
「タイマンで勝負つけてやるよ。俺は生憎着物だし、お前に有利じゃないか?」
「それでも勝てると思ってるのか?俺は空手で日本代表になったんやで」
「ふーん。そりゃちょうどいい相手かもな。少しは骨のある戦いしてくれるかな」
「このガキャあぁ、血の雨見んで!」
「見せてみろよ」
バッと周りの男たちが引いて、雷門桂斗と蓼科の國府田だけが真ん中に残される。
「お前が赤龍の神代恭弥や篠崎の残党をあおったのか?」
「別に・・・雷門を敵と思う輩は仰山おったからなぁ。勝手に仲間が増えよったわ」
黒幕は蓼科の六条会長だろうか。
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