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片想い
駅のホームの片隅で、私はあなたをずっと見てたの。
毎朝、最後尾の車両に乗り込む男の子。多分高校生だと思う。
私はあなたを見てるだけ。近づくこともできない。ましてや話かけるなんて。
ただじっと、いつもあなたを見つめるだけの私。
でも、それも今日まで。
いつものようにあなたがホームに現れる。電車を待って最後尾付近に立つ。
もうじき電車が来るわ。そして、駅に入る直前のカーブを上手く回り切れず、脱線してちょうどその位置に突っ込むの。
別の場所なら助かるかもしれない。でもあなたの立つ位置は列車が直撃する位置だから、決してこの事故を避けられない。
ここで死んだら、あなたは私に気づいてくれるかな? 同じような事故で死に、ずっとこの駅のホームにいる私と、友達になってくれるかな?
初めて見た時から心惹かれていた片想いの相手。
あなたが『こっちの世界』に来てくれるのが本当に待ち遠しい。
片想い…完
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