聴覚のキオク

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彼の唇も手もだんだんと下に下がっていく。 その吐息にさえ反応する肌。 早く奏でる鼓動と同じリズムで胸の頂を愛でる彼。 「……ぁ、」 思わず出てしまった声に慌てて口を閉じる。 彼は私の唇に指を這わせ、「声、聴かせてよ」と言って唇を開かせた。 彼の唇や手の動きに翻弄されいつの間にか声が出ていた。 ふと我に返り、その指を噛んでしまわないように口から離そうとすると指の動きが激しくなる。 そのままどんどん追い詰められていく私に「もっと、いい声で鳴いてよ」とかすれた声で囁かれた。 どんな声で鳴いたのか、自分ではよくわからない。 けれど、「俺、その声だけでイケル」と意地悪そうに言う彼。 私の方がそれは……、 そう思った瞬間、彼が一気に私を貫いた。
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