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「……く、ヤバ」
辛そうな彼の顔が目の前にある。
その頬に手を伸ばすと彼の名前を呼ぶ。
「だから、そういうのだって」
私の中で彼の存在が動いたような気が、した。
私が彼に名前を呼ばれると奥に響くように。
彼の名前を私が呼ぶと、
「だー、やめろって」
響く、いや反応する?らしい。
そんな彼がかわいらしく見えて、微笑んでいると、
「ったく、容赦しないからな」
そう宣言すると彼は私の腰を掴み貪るように動き出した。
吐息と共に聞こえる私の名前。
同じだけ私も彼の名を呼ぶ。
そして、二人の境界線がわからなくなるぐらい溶けあった。
互いの名前を呼びながら。
END
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