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ギュルルルルー。
「う゛っ…‥」
俺はスマホのアラームより先に、けたたましいお腹の音と、腹痛で目が覚めた。
寝ている間に布団を蹴りあげたのか、パジャマもお腹がめくれていた。
お腹を押さえながらトイレに駆け込み、「間に合ったぁ…」っと安堵のため息と共に朝の日課をすませた。
リビングに行くと、テレビでは初老の男性が、
『ご存じの通り、戦後から脳科学の研究が進み、1952年に薬事法が改正され、新たな機器へ認可がおりるようになりました。さらに電磁法が1971年8月29日に制定されてからはもはや、一大電流刺激療法の流れが出来、その波は国を大きく飲み込んでいったのです』
と、なにやら朝っぱら難しい話の高説をたれていた。
「おはよー計都(ケイト)さん。昨日も遅かったね」
リビングのソファーに座ってテレビを見ていた同居人に挨拶をする。
「あぁ、おはよう理一(リヒト)。最近国からお金がもらえる研究をしていて忙しくて。ごめんね」
眼鏡をかけてぼさぼさ頭のアラサーの女性はニッコリと笑顔で挨拶を返してきたが…その格好に思わず俺はため息をついた。
「それは良いけど…まったく…朝っぱらからなんて格好してんだよ…」
彼女はお風呂上りらしく、肩にタオルをかけ、キャミ(おそらくブラはつけていない)に短パンなのか下着なのか分からないようなものを履いて、太腿があらわなかなり露出が激しい姿だった。
「いまさら何さ。いつもこんなもんジャン?」
コーヒーの入ったカップを口元に運びながらニヤニヤと笑う計都さん。
「思春期の男子高校生がいるんだからもっと節度ある格好をしろよ」
「男子高校生?どこに?」
「ここだよ!ここ!」
「あぁ~小さいから中学生かと思ってたわ~」
あはははっと大きな声で俺が一番気にしていることを言いやがって…‥ムカつく!
「ガキ扱いすんなよ!」
「あんたなんてまだまだ子供よ。どうせさっきも寝相悪くてお腹冷やしてトイレに駆け込んだんでしょ?」
まるで見ていたかのようにそのままズバリ言い当てられて「うぐぐ」と反論する余地もない。
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