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まさか…俺も“殺される側”なのか?
そう思った途端胃の奥から苦いモノがせり上がってきて、目眩がした。
「大丈夫?顔色悪いよ?」
「うん…大丈夫…」
せっかく俺といることを選んでくれた杏菜にこんなこと言えない。
俺といると危険かも知れないなんて…。
あ…そうか。だからさっきの学ランは俺と一緒に行動することを拒んだんじゃあ?
自分の意思に反してどんどん嫌な考えが浮かんでくる。昔に戻ったみたいだ。
「早く礼旺を見つけよう」
逃げ出したくなる衝動を抑えることが出来ずに移動する。
さっきのT字路に戻って廊下のドアを閉めた後、「あ、ペットボトル忘れちゃった」と杏菜が言ったのですぐに開けようとしたら、連続してすぐには開かない様で再度開けるまでに10秒かかった。
左がさっき俺達が眠らされていた部屋がある廊下で、真っすぐはコオロギが宣言したルートだから、右に行くことにした。
ロックがかかっていて俺達の指紋では開かない部屋。
扉があきっぱなしの部屋。
どの部屋も共通しているのは長期間ほったらかしにされていて物が乱雑に散らばっていて埃っぽい。
なかなか礼旺を見つけられなかった。
どこも似たような部屋や通路なので、杏菜からアイライナーを借りて指示書の紙の裏に通路を書きながら迷わない様に進む。
窓が全くないから多分地下室なんだろうけど、異様に広い地下施設だった。
どこだ…どこにいる…‥。昆虫野郎が進んだ方が正解だったのか?さっきの指紋認証で開かなかった部屋?一度戻った方がいいのか?
時間が経つにつれ疑問ばかりが湧いて気が急く。
落ち着け。大きく息を吸って、吐いて。考えろ。
明るい廊下。暗い部屋。乱雑に置かれたモノ。高校生。地下。指紋認証ドア。
ターゲットである礼旺が俺達と同じように礼旺の指紋認証じゃないと開かない部屋に閉じ込められているとは考えにくい。
それだと“ゲーム”が成り立たない。
誘拐犯は新法適応者を快く思ってないのなら、すぐに見つけれる場所には礼旺を隠さないだろう。殺させたいと思いつつも、制限時間内に見つけなければと焦らせ、彼らを苦しめたいとも思っているはずだ。
なら俺達が眠らされていた近くや、簡単に見つけれる部屋に礼旺を置き去りにはしないはず。そう、例えば隠し部屋や隠し通路とか。
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