小説が書き上がらない！

自宅篇

｢やべー！締め切りまで間に合わへん！｣

俺、今川熊太(いまがわ・くまた)は、
携帯小説サイト『エグいズッ友』で活動する、
アマチュア作家である。

猛獣コンテストと言う、
四行から気軽に応募出来る応募に、
何度か挑戦しているが、
締め切り間に合わないか間に合うっても落ちるかの、
2択ばかりである。

俺は脳内に腐るほどネタストックが溢れているので、
理論上ネタ切れと言う概念は無いのだが、
執筆意欲はすぐ切れて追い付かず、
本当に持ち腐れていく事がネックだ。

｢猛獣コンテスト、
梅が出る物語を早く書きいや！｣

｢うるせー！急かすなや！｣

俺を急かすのは黒髪赤眼鏡の姉、
今川妄美(いまがわ・もうみ)

俺の家は神職で、
浪花府割戸田舎市に有る、
黒辰神社境内の社務所に住んでいる。

古事風土記では黒辰王焔命(くろたつおうほのみこと)
大和書記では玄田津男炎尊神(くろたつおほのおみことがみ)
神仏修合時は倶利佗羅龍王(くりたらりゅうおう)

通称は黒辰様と言う、
厨二度ぱねえ龍神を崇めている。

宮司だが高齢になった親父今川良男に変わり、
本来補佐である巫女の姉が神主でも有る。