魔王城

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 奴を倒すには再生出来ない程バラバラにするか、消滅させるしかない。それには最初に四人がぶつけた攻撃を更に上回る圧倒的な力が必要だ。それも確実に当てなければならない。  その為奴の動きを完全に止める、その役目をリアムが引き受けた。  リアムは漆黒の六角棒状の魔武器を、巨大なトンファー型へと変形させその先を槍の如く鋭利に尖らせた。 「ミア!」 「うん!」  最大限に魔力が高められ、逆立つリアムの髪。膨大な魔力が魔武器へと注ぎ込まれていき、それに伴い周囲の砂は消え元の床へと戻っていった。  そして、ミアが全力の蹴りを放つ。それは相手に向けてではなくリアムへ。リアムはその蹴りへ乗り、超高速でパテルへ向け弾き出た。  弾丸のように迫るリアムにパテルは気づき、撃墜しようと拳を振るうが、それをマルが魔導具の盾で防ぎ、熱線を放出しよう開いた口をアインが蹴り上げた。  完全に無防備となったパテルの胸元に、リアムの魔武器が突き刺さった。  魔武器は突き刺さると同時に、それは液状化しパテルの体内に侵入していく。その全てが体内へ。 「グオォォォォオオ!!」   パテルは不快なものを振り払うようにリアムを蹴り飛ばした。  リアムはガードを固め自ら後方へ飛び退きダメージを軽減したが、それでも部屋の端まで飛ばされ壁に激しく叩きつけられた。  それに追撃するようパテルが動き出す。しかし……。 「弾……けろ、磁限(じげん)!!」  それよりも早くリアムが魔法を発動。魔法の発動によりパテルの体内に侵入した魔武器が枝を生やすように四方八方へと広がり、全身の至る所から突き出ててきた。  それは硬い床にも深く突き刺さり、根を張りパテルを固定した。それを成す砂の粒子全てが電気を帯び、強い磁力を発生させることで一つ一つが強力に結びつき、より強固な物質へと変化している。  これが前に言っていたリアムの奥の手だ。何年もの間魔武器に魔力を溜め込み続け、その超濃度な魔力により漆黒へと変色する程に蓄積してきた。それを爆発的に解放させたのだ。本来ならこれで敵は死に至る。しかし相手はパテル。それをリアムも承知の上でこの形に変化させたのだろう。  力を使い果たしたリアムは、あとは頼んだと皆に向かい手を上げ、壁に寄り掛かった。  この間にミア、マル、アインは全力の一撃を叩き込む準備を整えた。
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