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「五百四十円になります」
僕たちは視線だけ絡ませて、その場で別れる。
たぶん、崇さんはまっすぐ家に帰ってしまう。だけど、僕もバイトがあがったら行くつもりだ。
去っていく崇さんの背中に意識を向けながらも、僕はレジの対応を続ける。早くバイトを終わらせて、崇さんがいる家に向かいたい。その気持ちが、グッと膨らむ。
「ありがとうございました」
ハロウィンはもうすぐ。
去年は何も出来なかったから、今年は何か出来たらいいなと思う。
僕はお客さんの流れが止まるたびに、ハロウィングッズの置いてある棚のほうに目を向ける。色々想像すると、なんだか楽しくなる。
崇さんが驚くような、何か。今からどうしようかと、楽しみになった。
<終>
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