プロローグ

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 人は、誰でも一生に一度だけ『運命のエレベーター』に乗ることができる。  でも「それ」が、いつ、どこに現れるのかは分からない。  たとえば、出張で訪れた田舎街のビジネスホテル、チェックインを済ませたあと部屋へ向かうために乗り込んだエレベーター。  あるいは、宅配ピザを届ける途中でひどい渋滞につかまってしまい、焦る気持ちで駆け込んだ注文客の住むマンションのエレベーター。  そんな、日常のふとした瞬間に、『運命のエレベーター』は現れるのだ。  けれど、たとえ「それ」に乗ったとしても、与えられた僅かなヒントに気づかなければチャンスを掴むことはできない。  ヒントに気づかず、ただ目的の階数のボタンを押してしまえば、その瞬間に「それ」はただのエレベーターへと姿を変えてしまう。  そのヒントに気づき、行動を起こした者だけがチャンスを掴むことができる。  運命を変えるチャンスは、たった一度きり。
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