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「つか俺、今晩参加ですか?」
「そうなるだろうね」
「そっちのが泣きそうですよ」
マグにお湯を注ぎながら先輩がふふ、と笑った。
「とにかく俺は喜んでるんです、ファンの一人として単純に」
「…綺麗だもんね、彼女」
「へへ、そうですよねー…あだ」
やかんを置いた先輩が、いきなり振り向いてお盆で相原君の頭を叩いた。
でも、態度はでかいくせに小柄な先輩は必死で背伸びしなきゃ俺の頭まで届かない。
「何笑ってんのよ」
「……すみません」
また背中を向けた先輩の後ろでこっそり笑った。
「ほらできたよ。熱いからね」
振り向いてマグを差し出した先輩も笑顔だ。
「ありがとうございます」
受け取ったマグはホカホカで。
持ち手を向けて差し出してくれた梨香子先輩は熱くなかったかなって気になった。
「さ、戻ろ」
先に出口に立った梨香子先輩が、ニヤリと笑って振り向いた。
「それ、絶対美味しいからね」
「何か特別なものでも入れたんですか?」
「うん。ツバ入れといた」
「げ」
「ウソよ、バカ」
固まる相原君を置いて、肩越しに手を振りながら梨香子先輩はさっさと行ってしまった。
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