ようこそ山茶花病院へ

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ようこそ山茶花病院へ

普通の高校生活を営んでいた筈の俺が突然死にたくなったのは、とある木枯らしが吹き荒ぶ十二月の事だった。 肌を切り裂いてしまうのではないかと言う程の冷たい風を全身に受けて、トボトボと河川敷の通学路を歩く。 もう時刻は既に昼近くになっていて遅刻は免れない時間であった。時折犬の散歩やジョギングをしている大人が、俺の事を不審そうな、或いは興味深そうな視線を送ってくる。 こんな時間に学生服で出歩いているせいで、きっと学校をサボってうろついている学生にでも見えるのだろう。 確かに俺は今日体調が悪い訳でもない為、「学校にも行かずこんな真昼間から川の近くをうろついている不審者」という言葉に当てはまる事に気が付いた。 今日は朝から頭の中に靄がかかった様な気分で、いつもは完食するはずの朝食も早々に切り上げて家を出たのだ。家を出る間際に母さんが何やら心配そうな顔をしながら話しかけてきたが、それをのらりくらりと躱した覚えがある。 いつもの様に家から出た筈なのに、いつもの様に学校に行きつく事はなく俺は途方に暮れた。 どうして今日はこんなに何もやる気が起きないのだろうか。それに気分が全く盛り上がらない。学校に行きたくない 。     
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