第1章 オブシディアン

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                 オブシディアン 「ルチル、 撃てぇぇっ!」オブシディアンの叫びだった。  耳を劈く《つんざく》ルチルの銃声。 空へ(とどろ)くそれは奴の口へ上手く入った。 しかしながら奴が消えるまで僅かに時間が掛かる。 間に合わない。 オブシディアンは叫ぶと同時に光の速さでルビーの前へ立ちはだかった。 が、 その瞬間、 ルビーへ襲い掛かった奇妙な宇宙生物は何かへ激突するやいなや、 「ドッカーンッ!」と、 衝撃音を辺りへ響かせた。 この上なく、 どうしようもない醜い顔がオブシディアンの胸を見事に貫通した。 と、 思えばルチルの放った弾が効力を発揮し醜い生物を跡形なくこの世から消した。 僅か一秒の出来事とはあまりに速過ぎた。
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