前夜・主催者の場合

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前夜・主催者の場合

「さて、そろそろ霊脈が活発化する時期になるね。君の目に叶う人物たちは居たのかい?」 「面白そうな手合いがぼちぼちと。その中でもとびっきりなのに、それとな~く招待状を渡しておいたわん」  楽幸の聖堂教会にある地下室。関係者であっても近づくことが無いその場所が、彼らが密談を行う際の会議室となっている。  一人はフェイスレス。街の魔術的管理者であり、当代における錬金術の権威でもあり、記録されている限りでも250年は生きている。人形師としても優れ、趣味を兼ねた実益として一般人向けにドールショップを経営しており、表の顔は実業家である。さらに街の名士でもあり、市会議員や政治家とも繋がりがあり権力者でもあるためか、封印指定を免れている。  一人は妲己。表向きは聖堂教会のシスターであり、東洋の文化と呪術に精通している「どこにでもいる」シスターである。しかしその気配の禍々しさは人が出せる物では無い。さらに来歴も「突然それまで落第生だったシスター候補が、才能に目覚めた」という眉を顰めるようなものだが、人事に関わる人間が軒並み『問題なし』の判を押している。     
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