case4: 右脇奈々

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「私は奈々だよ……」 「だから奈々は2年前に事故に……」 誰も分かってくれない。 私は母親の言葉を無視して走り出した。 行く宛てもなくて、走ったところで目的もないのに私は思いっきり走った。 現実から逃げ出すように。 そして走って走って、ようやく足を止めた場所は……。 「寧々ちゃん……」 あの子がいるところだった。 父親の逮捕で私は誰も友達がいない。 いや、逮捕されていなくても頼る人はいなかった。 私はずっとひとりぼっちだった。 姉の寧々がいなくなった今、 頼れるのは、私の友達ではなくて、寧々の友達だけ。 今、私を寧々だと思っている女の子だけだった。 「助けて……」 たとえ、世間の目が冷たいものだったとしても 同じようにその目を向けない子。
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