結婚式 Ⅱ

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父親と正志が真琴の手を離れると、真琴は古庄に手を取られてステージの上に上がり、皆の方へ向き直る。真正面から皆の視線を受けて、新郎新婦はいささか緊張した面持ちで居ずまいを正した。 「それでは、これからお二人に、結婚の誓いを立てて頂きたいと思います。立会人代表の校長先生、よろしくお願いいたします」 司会の女の子のアナウンスがあり、そこに礼服に身を包んだ校長が現れると、古庄はギョッとして息を呑んだ。さしずめ校長は、教会式の神父の役らしい。 この校長がどんな言動に出てくるのか、ちょっと心配になってくる。 そんな神妙な表情の古庄と素直な視線をくれている真琴に向き直って、校長はニッコリと二人へ笑いかけた。 「古庄くん!」 「…は、はいっ!!」 校長から大声で名前を呼ばれると、高校時代からの癖で、古庄はパブロフの犬みたいについつい大声で返事をしてしまう。そんな反応に、クスクスと同僚たちから笑いが起こった。 「君の花嫁である賀川真琴さん。彼女のどんなところが好きになったのか、私たち立会人の前で言ってみなさい」 「は……?えっと…」
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