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「おい、まだ見つからないのか。」
「申し訳ありません。このように強い雨では、視界が悪く、足跡も消されるため、思うように追跡が出来ません。」
ロウソクで照らされた部屋で、豪華な着物を羽織る男。
部下の慌ただしい姿を、ただ静かにみていた。
そして、呟いた。
「もし、見つからなければ、お前が代わりに処刑されるのだ。」
指差した先に立っていた男性は、蒼白な顔をしながらこう答えた。
「はい、喜んで自分の命を、貴方様に捧げます。」
そして、頭を下げ、敬服の意を表した。
その場に居た他の者も、同じように彼の真似をした。
「良い返事だ。明日が楽しみだ。」
軽やかな足取りで、部屋を立ち去る男性。
その場の空気は、冷たく、重く、苦しく感じられた。
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