プロローグ

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飲食物が、襲ってくる。 誘惑しながら、食べてくれなきゃ死んでやる、とこっちを脅してくる。 私たちの仲間意識は強いよ、と徒党を組んでこっちを攻撃し、だから食べて、と何度も何度も呟く。 ねー、食べて、だってそっちも食べたいんでしょ、こっちも食べてほしいの。食べてしまえばお互いウィンウィンの関係じゃん。 そう食べてと願ってくる子たちの肌色はとても良い。ツヤも良く、本当に綺麗だ。 こっちだって、食べたいよ。 でも、あなたたちを食べたらこっちの脂肪となる。 大嫌いな、世界で一番醜い自分の脂肪。 顔の周りやお腹の周りに付く、大嫌いな脂肪。 痩けたい。痩けたい。痩けたい。 一人暮らしの家で、床に寝転ぶ。 食べ終わったお菓子の袋や、カップラーメンのゴミなどが散乱している。 食欲なんて、なくなればいい。 それが存在する限り、私はこれからあと数十年も自分と戦わなくてはならないんだから。 もう、空気を食べてしまおうか。
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