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もう卒業したんだ、と三柴沙希は煩い駅のホームで呟いた。
沙希は先日、高校を卒業した。
まるで予行練習のような卒業式は、特に緊張も無く終わった。
受け取った卒業証書を片手に、なんで校長先生は泣いているんだろうと、不思議に思っていた。
最後のクラスHRでは、人より多く貰った賞品をスクールバッグに入れながら、あまり嬉しいとは感じなかった。
クラス内での思い出も、特に無かった。
運動会も、文化祭も、ただの通過点だった。
それも全部、私が積極的に参加しなかったからなのだけど。
自嘲気味に呟いたそんな言葉は、騒がしい駅のホームに吸い込まれていった。
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