第4章

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だけどあまり過剰に憤慨すると俺の本心を晒すようなので、極力おとなしめに抑えた。 「男が女を手懐けるのと女が女を操縦するのは次元が違いますよ。 そこは部長に反対です」 男女の仲も仕事もごった混ぜの発言には一切同調できない。 「…ありがとう」 俺の控え目な援護でも役に立っただろうか。 彼女は寂しげな表情を少し緩めて微笑んだ。 「こんなことで落ち込むなんて、 私、少し疲れちゃったのかもね」 密かに広がりつつある片桐主任婚約の噂の中、先輩は毅然と顔を上げていた。 いつかまた折れてしまわないかとハラハラする。 そう言いながら俺も散々苛めたけど。 「…時々、逃げ出したくなるの」 不意に彼女が漏らした一言に、切羽詰まったものを感じて息を呑んだ。 けれど何か言葉をと思った時、携帯の呼び出し音が響いた。 「…すみません」 電話の主は部長。 タイミングの悪さに溜め息が漏れる。 十中八九、何かやらかしたに違いない。 米州部長は人情味があるいいおっさんだけど、始終ドジを踏むのだ。
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