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パシモン イン ア フォレスト
ある森に柿の木がありました。
古い古い柿の木で、毎年たくさんの実をつけていました。
でもその中に、いつまでたっても青いままの大きな柿の実がひとつだけありました。
名前をパシモンといいました。
柿の木母さんは、パシモンによく言ったものです。
「ねえ、パシモン、いつになったら赤くなってくれるの?早く赤く熟して、柔らかくなって、小鳥さん達におすそ分けしなくちゃね。」
けれどもパシモンはこう言うのでした。
「いやだい、赤くなって熟したら、そのうち地面に落ちて、くさっていって、目が見えなくなって、お空が見えなくなるんだ。」
その通りでした。
なのでパシモンはお母さんの細い枝にしっかりつかまって、ゆらゆら風に揺れながら、広くて大きな青空をただのーんびりといつまでもいつまでも眺めているのでした。
柿の木母さんは、ため息をついて、どうしたらパシモンを赤くしてやれるのだろう、と考えました。
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