906人が本棚に入れています
本棚に追加
/363ページ
手術後の回診を終え、車で帰宅。
カーポートに車をバックさせている時点で
違和感を覚えた。
車から降りて玄関に向かう。
おかしい、
感知式の外灯以外
家の電気が一つも点いていない。
何故だ?
玄関の扉を開けると
猫のカンコだけが
上り框で僕を出迎えてくれた。
いつもなら夕食の美味しそうな匂いが
玄関まで漂ってきて、
妻、明里さんの「おかえりー」と
愛娘、陽菜の「おかえりなさーい」
という声とともに、
陽菜の駆け寄ってくる足音が
聞こえてくるのに。
その日は、
そこに人がいなかったことを示す
寒々とした空気が
充満しているだけだった。
最初のコメントを投稿しよう!