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お盆休みが終わり、ほとんどの大人が憂鬱な顔で働き出した月曜日。 私も同じようにどんよりしていて、そこにプラスし、酷くささくれているなと自分でもわかっていた。 駿と会えて満ちたはずの心が、不格好なカタチで埋まってしまって、修復作業には時間がかかりそうだ。このままじゃ誰かを傷つけるんじゃないかってくらい、トゲトゲした気持ちだ。 仕事中には我慢していたため息を自宅に帰る間に何度も繰り返し、1階の郵便ポストを開けた。 入っていたのは『三宝建設株式会社』と名前が印刷された封書が2通だった。 このマンションの賃貸契約は私の名義だ。食費やその他の生活費や家賃を振り込んだ銀行口座の管理を私がするからと統一させたからだ。 時折、“夢のマイホーム”とか“リフォームのご相談は弊社に”といった案内が送られて来るから、きっとそれだろうと思い気にもせず、握り締めたままエレベーターに乗り込んだ。 「よっ」 玄関ポーチの横。 いいつけを守って姿さえも見せずにいた人物は、 「久しぶりー」 なーんにもなかったかのように片手を挙げている。 「腹減ったー」 「……」 「今夜は何?」 「……唐揚げ」 「っしゃー」 トゲトゲした気持ちが、 「千夏の飯が食える!」 そんな言葉だけで一瞬だけそのカタチを柔らかく歪める。 ぺったりと寄りかかっていた壁から背中を剥がし、私がドアを開けるとほぼ同時に当たり前のように部屋へと上がり込んだ冬馬さんのその後を、家主の私の方がついて行く。 ダイニングの椅子の足元にバッグを置くと、テーブルに握っていた封書を放り投げ、夕飯の支度に取りかかった。
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