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タケルはストローを刺さずにグラスから直接コーラを飲んだ。口をぬぐいながら直哉の方を見た。
「ところでさ、結局のところ直哉も健人のこと、高校ん時から好きだったってことだよな」
直哉はなんでもないという顔で普通にうなずいた。
「そうだよ」
「じゃあさ、直哉はもともとそっちの気があったってこと?」
タケルは何かを思い出したように面と向かってズバズバと訊く。直哉と付き合うようになって二ヶ月以上経つが、それは俺でも訊けないでいることだった。訊いちゃいけないというか、訊くのがなぜか怖かった。直哉はチラっと俺を見るが平然と答えた。
「そうだよ。ぼくの恋愛志向は男の人。だけど、誤解しないで。テレビに出てるような、いわゆるオカマとかオネエといわれている人とは違う。ぼく自身、肉体的にも社会的にも男だと自覚していて、別に心が女性だとか、体を女性にしたいとかは思っていないんだ。ただ、考え方というか、気持ちは中性寄りかもしれない。男なんだから男らしくとか、女なんだから女らしくという考え方はちょっと理解できないかな」
そこで俺は直哉を制止するように、彼の脚に手を置いた。ここまで内面的な話になるとは思っていなかった。だけど、彼は俺を見ると首をふって気にせず続ける。
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