True Love

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True Love

 秋学期の試験が終わり二月に入ると、もう春休みが始まった。ついこの前、冬休みが終わったばかりなのに、大学生の春休みというのは、随分早く始まり、そして長いものなのだ。  俺と直哉(なおや)が恋人同士になってから二ヶ月が過ぎる。俺たちはアルバイトのシフトをふやしつつ、二人の時間を大切にして過ごしていた。直哉は大手チェーン店の古本屋。俺は直哉と同じ古本屋と、ファーストフード店の掛け持ちだ。  二月十四日は、直哉がアルバイトに入らないというから、俺も合わせてシフトを入れないでおいた。「"友"だか"義理"だか"本命"だか知らないけど、あのおかしな儀式に関わりたくないんだよね」と、直哉にしては、ひどく辛辣な批評。気持ちはわからなくもないけど、甘いものが好きな俺は、もらえる物はもらっておけばいいのになんて、ちょっと思ったりした。  何もすることがないその日は、昼頃までだらだらと寝て、お昼をまわってから朝ごはんを食べた。午後もリビングでのんびりゲーム三昧である。直哉が住む1LDKの部屋には、大型テレビや一通りのゲーム機も完備。大学から歩いて五分ほどのところにあって、この辺りでは一番の高級マンションである。直哉はちょっとリッチな家の子なのだ。
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