マザー

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 あの花…… 塀越しに白い花が沢山並んだ通学路を俺は歩いていた。 不思議なことに手前にある一本だけが赤いんだ。 それが異常に映ったのかも知れない。 だから俺の脳裏から今も離れないんだ。 その花の名前を知ったのは俺があの店へ行く前だった。 それは調べてはいけない花だった……  もしかしたら、この時から俺は疎んじがられていたのかも知れない。 俺の潜在能力がきっと皆とズレていたからだ。 俺はそんなことにも気付かずに、マザーの羊水の中で呑気に暮らしていたのだ。  プカリプカリと浮かんでた。 俺はマザーの羊水の中で胎児になって浮かんでた。 何時ものように浮かんでた。 ただそれだけだ。 何故なら、俺はマザーが好きだったからだ。 マザーの羊水には不思議な魅力があるんだ。 其処にいるだけで力が沸いてくるんだ。 お母さんに抱かれた赤子のように、信じきっていたからだ。 image=506161678.jpg
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