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「俺なんかより兄さんのほうがよっぽど優しいのに、おまえ、俺のこと好きなんだ?」 「怒ってないエミリオ様は大好きです」 「……意味わかんねー」  そう言いつつも、自然と顔が綻んでしまう。  汚れてしまった部屋をせっせと片付けるアリエッタを見下ろして、エミリオはあの日のようにほくそ笑む。けれど、その心にはもう、嗜虐的な愉悦はどこにも存在しなかった。  八つ当たりはもうやめだ。  アリエッタの隣に膝をつく。触れ合った指先が微かに熱を帯びていくことに、エミリオはほんの少し、胸の高鳴りを覚えた。
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