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「おっと。アンフィル様、今日はこれ以上、惚気に付き合い切れませんぞ。酒の抜けが悪くなりましてな、この頭痛は辛いものが」
「はっ、お前もか。さっきサモンと廊下ですれ違ったが同じだったな」
フィルは微笑し小さな袋をバルに差し出す。
「常備薬より強い丸薬だ。効くぞ」
「おお、それは助かりますな。サモンにも持って行きましょう。では後ほど」
「ああ。俺も湯を貰おう」
浴室に向きを変えたフィルはピタと足を止めて顔をあげた。
「ミナ、バルとサモンに渋い茶でも入れてやってくれ」
「えっ」
ミナは思わず声が出た。
「熱い視線を誰に送っているのかは知らんが休みの日はきちんと休め。また明日からレオが無理しない様頼むぞ」
「はいっ。任せて下さいっ!」
頼もしい返事に満足しフィルは奥に消えた。
階級も気にせず気兼ねなく接する屋敷の主、主への信頼が目に見える老齢元執事長、幼く見えるが気も強くやり手の執事長レオ、その周りを護るように付き添う軍服達。レオを敵視する執事達の存在。
(どこでカップリングしてもいけるわぁ!!萌え要素満載なこの屋敷。決めた。あたし、一生ここで旦那様にお仕えする!レオさんを見守るのもあたしの仕事、もう使命のような気がしてきたわ)
ミナは新たな決意に紙袋をぐっと握り、最後に形の残ったスコーンを握り潰した。
「あ、お茶いれにいかなくちゃ」
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