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2つ先のバス停で一緒に降りる。
高校3年生だ。と言った彼は
「俺の家って喫茶店なんだ。腹減ってない?」と言って先に立って歩きだす。
私は彼の少し後ろを歩きながら、さっきの出来事を聞いて見る事にした。
「さっきのって、…えーと、周りがグレーになって
みんな止まってたみたいに感じたのは…気のせいかな?」と
「うーん。気になる?」
気になるでしょう?
「さっきは慌てちゃって、思わず『チカラ』を使っちゃったからなあ。」と頭を掻き、
「ミツキちゃん。誰にも言わない?」と立ち止まって私の瞳を覗く。
じっと見つめられてドキドキする。
「…やっぱり聞きたくないかも…」と目をそらして歩こうとすると、
「俺って、超能力者…みたいなんだよねえ。」
と思い切ったように言って、私の腕をギュッと掴んだ。
「う、嘘だよね。」と唖然とした顔をすると、
「こんな『チカラ』持ってるヤツは嫌い?」
と真面目な瞳で私を見据え、掴んだ腕の力を少し緩める。
少し悲しそうな瞳。
「えっと…いや、別に嫌い…とかいうわけではないような…」
と小さな声でシドロモドロになりながら言うと、
急にリクの瞳が期待に満ちたように輝きだす。
切れ長の瞳に吸い込まれる。
とドキドキする。
「…えーと…どっちかっていわれたら、…好きかも…」と思わず言ってしまう。
「良かった。嫌われなくて。」
とホッとしたように私と手を繋ぎ、前を向いて歩き出した。
ほんとう?
本当の本当に超能力者?
それってなに?
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