恋を知る夜

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言いたい。 でもぺら口封印。 その狭間でグラグラ揺れてた時だった。 座敷の反対隅の方から、あはは、と一際大きな笑い声が上がり目が釣られる。 西原さんと柳原さんが、何やら盛り上がっているようだった。 「楽しそうですね」 「さよさん、飲みすぎ。さっきからめっちゃピッチ早えし」 「そうなんですか」 そういや、飲み会そのもの久しぶりだから楽しみにしてたって、西原さん言ってた。 ってか、やっぱりさよさんを見てるんだなあと、それくらい気になるなら傍に行って止めればいいのに、とか思ってしまうけど。 多分、それは余計なぺら口、だ。 でも心配だし、だったら私が「あんまり飲み過ぎたら太りますよー」とか冗談ぽく言ってみようか、とか考えていたのだけれど、東屋さんの次の言葉でそんな考えは消えてしまう。 「まあ、俺が見てなくてもちゃんと見てる人がいるから」
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