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運が悪すぎる。
俺が何をした?
真面目に生きてきた。
悪い事なんて、何もしていない。
きっと、俺の前世が最悪な事をしたに違いない。
深夜のアルバイトを終えた俺は、愚痴を零しながらアパートに帰った。すると、不思議な物が視界に飛び込んでくる。
「ポスト?」
部屋の隅に、見覚えの無い小さな郵便ポストが置いてあった。
泥棒にでも入られたのか? しかし、荒らされた形跡は無いし、そもそも盗む物なんて何も無い殺風景な部屋だ。ドアの鍵も掛かっていたし、窓も施錠されたまま。そして、深夜に大家が入ってくるなど考えられない。
怪し過ぎるが、このまま無視も出来ないので、俺は郵便ポストを確認した。
……サイズは小さいが、見た目は何処にでもある普通のポストだ。
但し、二つある差込口の一つは前世、もう一つは来世と書かれている。ポストの蓋を開けてみたけど、中には何も入ってなかった。
取り敢えず害は無さそうだが、差込口に書かれた前世と来世の文字が気になる。
「前世か……」
そう口にすると、冷静になった感情が再び熱を持ち始めた。
前世の行いが悪いから、こんなにも運が悪いはずなんだ……怒りが込み上げてくる。
その怒りを文字にして手紙を書き、前世と書かれた差込口にぶち込んだ。
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