第1章

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重力の井戸の底            森里明日子 ヒガタ星付近で、微かなFM波をキャッチした。ヒガタは無人の恒星系。わたしは発信源の第四惑星に降りてみることにした。わたしの今回の航宙の目的は、小型ヨットによる単独銀河一周であって、速さではないのだから。  中緯度の海岸近くに、人が倒れていた。わたしは急いで船を降ろし、普段着のまま外へ飛び出した。彼女に手を掛けた瞬閻、死んでる、と思った。 (違う、ロボットだわ。―どうやら、エネルギー切れね) わたしはメイド服を脱がせ、背中の裏蓋を開けた。光子カートリッジが空っぽだった。 (よかった。スカーレスのカートリッジが使えるわ。ヅヅキのエンジンも、ミニョルタのロボットも同じカートリッジが使えるなんて、この時ばかりはGIS(銀河工業規格)に感謝よね)  わたしはスカーレスから予備のカートリッジを取って来た。 (ええと、ただ替えればいいのかしらね? あ、蓋の裏に何か書いてあるわ) [バックアップ・レバーをonにして、一分以内に光子カートリッジを交換してください] (あぶない、あぶない。危うく大事なメモリー消しちゃうとこだったわ)
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