クテンは苦悩していた。

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クテンは苦悩していた。

 クテンは苦悩していた。己の存在意義について、存在理由について。  己に生まれついて課せられた使命は、この世界にとって非常に重要であり、その重要性をクテンは理解している。一方で、クテンはその使命をどうしても受け入れられないでいるのだ。  悩みを聞いていた、隣に座るトウテンが声を掛ける。 「なあ、クテンよ。そんなに悩む事もあるまいよ」  気軽に言ってくれる。 クテンは目も合わさずに応える。 「トウテンよ。そうは言っても、お前には分かるまいよ」  トウテンはこの頑なな相方を一体どうしたものか、と溜息を吐いた。  クテンは無二の友・トウテンに悩みを打ち明けたはいいが、どんなに話をしても納得いく帰着点は見つける事は出来なかった。  話している内に、トウテンには自分の苦悩を本質の部分で理解できないことをクテンは理解した。彼の立場はクテンに近しい。間違いなくこの世界で誰よりもだ。だが近しいというだけで、それぞれに課せられた果たすべき使命の内容はまるで違う。そこにトウテンは気付いていないのだ。 「分かるさ、でもそれは僕らに課せられた使命だ。仕方のない事だろう?」  トウテンは食い下がる。     
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